FEDERAL-FLEX アジアクロスカントリーラリー2013は13日、アランヤプラセートからブルリムに向かう総走行距離430.58km、うちSS3/231.15kmで実施された。コースの前半はロックセクションから始まり、木の橋を渡った後、右手にカンボジア国境のジャングルを臨むレイアウト。その後、コースは狭くなり、給水路の脇の狭い道を延々と走る。約83km走ったところでPCとなり、その後、後半のセクションとなるがここも泥あり、橋あり、タイトコーナーあり、高速コーナーありとバラエティに富んだコースだ。


 ホテルのMTC(メインタイムコントロール)からのスタートは1号車が7時半。すると、このLEG3の大波乱を予感させるような雨が降り始めた。ラリーはホテルから70.26kmのRS(リエゾン)を経てSS3に臨む。RSを終える前には雨も止みSSスタートとなったが、約11kmに位置する橋を渡ることは出来ず競技は11km地点までがキャンセル。キャンセルが正式決定するまで、誰も渡ろうとしなかった橋を唯一トライしたのが#14竹野悟史/柳川直之組(こにゅうどうくん with ガレージモンチ・絆・MRS/SUZUKI Jimny SIERA)。しかし、参加者中で最軽量のジムニーですら渡り始めると木の橋はくずれ、断念。橋を使わず川を渡ることができないかと川の深さを見に行った#9 Bandit PANTHITA選手と#17ロスリン選手は予想を上回る水深に諦めて泳ぎ出すなど、橋の手前で止まっていた参加者の脳裏にはこれから先のSSの波乱が予見された。

 その後、コンボイで33km地点に移動して競技が再開。するとサービスをはさんだPCスタート後20km地点で昨年優勝の#1 Nuttapon ANGRITTHANON/Kittisak KLINCHAN組(ISUZU D-MAX)が二駆となり深い泥に取られて参加者全員が足止めに。ここでも相当な時間が救出に費やされた。

 そんな波乱のSS3でも上位4台をタイの参加者が占めた。トップには今回このラリーで初めてSSトップを収めた#23 Pittiphon PROMCHOTIKUL/Olan Sarnsirirat組(ISUZU D-MAX)、2位に#3 Vorapot BUNCHUAYLUE/Chupong CHAIWAN組(ISUZU D-MAX)、3位に#15 Paitoon THAMMASIRIKUL/Thanyapat MEENIL組(ISUZU D-MAX)、そして4位に#5 Wichai WATTANAWISUTH/Somkiat NOICHAD組(ISUZU D-MAX)。

SS3 1st
#23 Pittiphon PROMCHOTIKUL/Olan Sarnsirirat
(ISUZU D-MAX)
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 続くSS5位には日本人最上位の#7 伊藤芳朗/平賀健組(ISUZU D-MAX)が入り昨日と同じ総合3位でこの日を終えた。また、昨日総合4位だった#14 竹野悟史/柳川直之組(こにゅうどうくん with ガレージモンチ・絆・MRS/SUZUKI Jimny SIERA)はSS7位、そして総合は変わらず。また、#10 青木孝次/石田憲治組(TWO & FOUR MOTORSPORTS/MITSUBISHI OUTLANDER PHEV)もSS12位と車高の低さを感じさせないタフな走りを見せていた。

SS3 5th
#7 Yoshiro ITO/Takeshi HIRAKA
(Team TAGA meets NAIRAN/ISUZU D-MAX)
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SS3 7th
#14 Satoshi TAKENO/Naoyuki YANAGAWA
(KONYUDOU-KUN with Garage MONCHI KIZUNA MRS/SUZUKI Jimmny SIERA)
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SS1 12th
#16 Hiromi/Sadatoshi ANDO
(FLEX FEDERAL SHOW AIKAWA Racing/TOYOTA FJ CRUISER)
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 しかし、ハプニングはまだあった。FLEX FEDERAL SHOW AIKAWA Racingの二台は173kmポイントまでは淡々とラリーをこなしていた。しかし、#17 寺田昌弘/ロスリン/染宮弘和組がその173kmポイントで見たのは#16 ヒロミ/安東貞敏組(FLEX FEDERAL SHOW AIKAWA Racing /TOYOTA FJ CRUISER)が左コーナーの外側の田んぼに落ちている光景だった。「キャンセルとなったところにあった橋をジムニーが渡ろうとして橋がくずれた時に何かが僕の中でもくずれたんです」と寺田選手。それは今日一日の天候やコースなど、波乱を予感させる何かだった。幸いヒロミ選手のクルマは30分ほどで救出、下が泥だったこともあり車両への影響は皆無だった。「落ちたところの前から、ずっと氷の上を走っているみたいにツルツルしていて、まるでクルマが浮いているみたいな感覚だった。前半調子が良かっただけに残念だけど不思議と何も壊れなかったのが幸いだった」とヒロミ選手。さらにSS終盤には今日も強いスコールが降り続き、赤土の畑は川となって参加者を苦しめた。


MOTO部門

 一方、二輪も同じく最初の部分がキャンセルとなり約198kmで競技は行われたが、KTMが1位、2位、4位と健闘、しかもSSトップはタイの#118 Jakkrit CHAWTALE(KTM 450XCF)。2位には#108 Magnus OSTERBERG (KTM 450EXC SixDays)、3位には#114 Sumaetee TRAKULCHAI(HONDA CRF250L)。日本勢では#102 福岡秀之(HONDA CRF450X)選手がSS5位で総合順位を3位にあげ、#105 江連忠男(YAMAHA WR450)選手はSS6位で総合5位となった。

SS3 3rd
#114 Sumaetee TRAKULCHAI(AP HONDA/HONDA CRF250L)
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SS3 4th
#107 Olle OHLSSON(Rally Raid Sweden Team KTM Scandinavia/KTM 450EXC SixDays)
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SS3 5th
#102 Hideyuki FUKUOKA(Team Japan/HONDA CRF450X)
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SS3 6th
#105 Tadao EZURE(Team Japan [mcc EZURE]/YAMAHA WR450)
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SS3 7th
#101 Manoch ABDULLKALEE(AP HONDA/HONDA CRF250L)
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SS3 8th
#104 Jesadang CHOTANA(AP HONDA/HONDA CB500X)
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 このLEG3では午後8時をすぎてもホテルのMTCに戻ってこられた四輪は数台。ラリー折り返し日を終えて選手の疲れもたまってきたところだ。明日のLEG4はブリラムからウボンラチャタニに向かう総走行距離501.59km、うちSS4が166.87kmの予定だったが、カンボジアとタイの軍事関係の問題によりSSを84kmにカットして行われることが決定した。


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