11月25日(金)晴れ ブリラム → シェムリアップ
432.51km リエゾン:351.83km SS:80.68km

LEG 4

2輪は連日のトップ交代劇!
4輪のトップ10に大きな変動はなし

Team Japan の 西村選手が総合トップを奪還!

2輪は昨日に続き、トップの交代劇が起きた。昨日、♯20 Koun Phandara 選手(KTM 450EXC-F)に総合トップを奪われた ♯3 Team Japan の 西村裕典(ハスクバーナ TE250i)選手が、♯20 Phandara 選手に2分20秒の差をつけてゴールラインを通過。28秒差を跳ね返してトップに返り咲いた。

総合2位は ♯20 Phandara 選手。3位と4位は昨日と変わらず、 Team Cambodia の ♯24 Daravuth Chan(SUZUKI RMX 450Z)選手、♯1 松本典久選手(KTM 350EXC-F)と続いている。

優勝争いのゆくえはやはりこの4名に限られるが、それぞれタイム差は5分近く開いてしまっている状況。明日、カンボジアで行われる最後のSS6は48kmと短いため、この差をひっくり返すのは至難の業と思われる。

ただ、本大会初めてのカンボジアステージはとにかくバンピーとのこと。ところどころにマッドなエリアやウォーターベッドなどのトラップが用意されているので、勝利の女神が誰に微笑むかはまだ、分からない。

四輪の総合順位に大きな変動はなし
プライベーターの活躍にも注目したい

四輪はやはりワークス勢がひしめくトップ10くらいまでが図抜けて速い。この日行われた約80kmのSSでもトップ9までがわずか3分差の中にひしめくこととなった。

今大会初のデイリートップを飾ったのはいすゞD-MAXを駆る Ayumi Racing Team の♯115 Tawee Neanna / Athikij SRIMONGKHOL組。続く2番手には ♯116 Fortuner GEOLANDAR takuma-gp の 塙 郁夫 / 染宮弘和 組 が付けた。

そして4位、5位には Team Mitsubishi Ralliart の ♯118 RIFAT HELMY SUNGKAR / Chupong CHAIWAN組、♯105 Chayapon Yotha / Peerapong SOMBUTWONG 組のトライトンが、6位、7位には Toyota Cross Country Team Thailand の ♯102 Jaras Jaengkamolkulchai / Sinoppong TRAIRAT 組、♯103 Mana Pornsiricherd / Thanyaphat MEENIL 組のトヨタ ハイラックス レボが続いた。

トップチームのタイムが僅差だった故に総合順位は昨日と変わらず、1位から三菱トライトン、トヨタ ハイラックスレボ、トヨタ フォーチュナー、三菱トライトン、トヨタ フォーチュナーと続き、6位にいすゞ D-MAX が食い込んでいる。

なお、日本から出場している ARTA Autobacs Rally Team の ♯123 増川 智(MASUKAWA Takumi)/ 竹藪英樹(TAKEYABU Hideki)組はプライベーターながら初日から安定した走りを続け、初出場ながら総合9位に食い込んでいる。

使用車両は日本国内で購入できる ハイラックス MSB(TRD モータースポーツ カスタマイズ仕様)。2.8ℓのターボディーゼルを使うワークス勢と違ってエンジンは2.4ℓ、車両の改造度合いも控えめだが、ハイラックスMSBがこの大会で十分に通用するクルマであることを証明してくれている。

私達はどうしても華々しいワークス勢の戦いに目を向けがちだが、AXCRはもともとプライベーター達が集い、競い合いながらその魅力を発信して行くことで大きくなっていったイベントだ。今後もこのようなクルマを使って、より多くの方がAXCRに参戦していただけることを期待したい。


明日はカンボジアで行われる最初のSSだ。そしてまた、寂しいことに今大会最後のSSでもある。コースは非常にバンピーで狭く、ところどころにマッドセクションやウォーターベッドがある、という状況だ。少しでも油断すればスタックやマシントラブルによって順位を大きく落としてしまうばかりでなく、最後の最後でリタイアという憂き目に遭う可能性もある。

選手のみなさんにはぜひ最後まで走り切っていただき、ゴールのアンコールワットまで無事に到着していただきたい!

moto

自分のバイクで国境を越える、その悦びたるや

LEG4では、いよいよタイからカンボジアへ国境を越えて移動する。数カ月前に横浜港で船積みされた、日本で自分が乗っていたバイクが今度は陸路で、自らの運転で国境を越えるのだ。島国で育った人間にはなかなかの体験ではないだろうか。

国境越えは慎重に、参加者およびアジアンラリー関係者全員が無事にパスできるよう、運営スタッフが国境に立ち、参加者および関係者1人ひとりに対して丁寧に案内してくれた。

まずどこへ行って何をし、次にどう動くのか、現場は誰でも分かるような導線にはなっておらず、言われなければ重要なことにすら気付くことができない。

タイとカンボジアの国が変わる境は、まっすぐに伸びた道路をフェンスで区切られている程度。タイ側のフェンスからカンボジア側のフェンスまでの間隔はほんの数十メートルといったところ。道路周辺に関連施設が立ち並ぶが、大層な感じはしない。

タイからの出国手続きを済ませ、フェンスの区間内で左側通行から右側通行に切り替わるため、対角線上に移動し、カンボジアへの入国手続きへと進む……矢印も案内も無いのにそんなの分かるわけがない。と、個人的には感じる。

国境越えがあるためLEG4のスタートはいつもより1時間ほど早く、午前中にタイ国内で距離の短いSS5を走ってから国境へ向かう。カンボジアへ入国したら、各自で宿泊ホテルへ向かうのみ。

したがって参加者の気持ちとしては、当たり前だが「何もやらかさないように」無事国境を越えることを前提に走っていた。何しろ翌日は最終日、ゴールにはアンコールワットが待っているのだ。

前日夜のブリーフィングで発表されたルート変更もあり、正しい情報が分からない状態で迎えたこの日、お互い情報交換と助け合いで全員が揃ってカンボジアのホテルへと辿り着いた。

参加者の1人はSS5でラリータワーが破損し、落下はしなかったものの応急レベルの補修で明日のSS6をなんとかこなすしかないという。ほか、タイヤ交換やオイル交換程度の整備で睡眠時間を削られることも無く、誰もが何かしら車体に不具合を感じながらも、今年のアジアンラリーではそれが致命的なダメージにつながるようなことは無さそうだ。

ここまで来たら、あとは無理せずゴールするのみ。先が見えてきたMOTO部門のコンペティターたちに焦りは見られないが、ラリー終盤ともなると確実に疲労は蓄積している。そして皆それも分かっている。常にいつどこで何が起こるか分からないのがラリーとはよく言われるが、最後まで油断せず、笑顔でアンコールワットに辿り着いて欲しい。

(写真・文/田中善介)
Provisional Result SS5
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