11月22日(火)晴れ ブリラム → ブリラム
430.63km リエゾン:229.58km SS:201.05km

LEG 1

いよいよ始まったグラベルステージ
初めて行われる乾期の戦いは未知の世界!?

今年のコースは例年と比べ、少し変則的だ。本格的な未舗装路ステージが始まるLEG1(競技1日目)からLEG3までがヘッドクォーターのあるモデナホテルを起点・終点とするループコースで構成されているからだ。

そしてLEG4も同じホテルからスタート。その後タイ国内でSS(スピード計測区間)を走った後にカンボジアへ越境しシェムリアップの町に向かう。

そのためカンボジア国内で競技が行われるのは最終日のLEG5のみ。これはコース設定時に降った大雨の影響なので致し方ないことだろう。

いずれにせよ、競技前日から数えると実に4日間を同じホテルで過ごすことができるため、選手やチーム関係者の動きはかなり楽になっている。毎日荷物をパッキングしてサポートカーやトラックに積み、競技後に次のホテルにチェックインする手間が少ないからだ。

主催者も今回に限っては、コロナで長らく中断された大会運営と久し振りに参加する選手が「競技感を取り戻す」ことを主眼に置き、「リハビリ」としての運営に徹している。

前半戦のハイライトとなる最長ステージ

さてそんな中、競技初日に設定されたのは、SS(競技区間)が約200km、リエゾン(移動区間)が約230km、総走行距離が430kmという今大会最長の戦いだ。

選手達は朝7時にホテルを出発し、125kmのリエゾンを経てSSの入り口に到着。前日のスーパーSSのタイム順で、まずは2輪の16台から1分間隔でスタートしていった。

今大会は乾期に行われる初の大会ということで、路面状況が例年と大きく変わってくることが事前に予想されていた。

だが想像以上にハードだったらしく、4輪の選手からは「路面の凹凸で高く跳ね上げられた」「腰が痛い!」「尖った地形がそこかしこにあってアンダーガードがボコボコになった」などの声が多く聞かれた。

ただしこの状況は事前に予測されており、ジャンクションやターンが意図的に多く設定されていたため、細かく区切られたコマ図と合わせ、選手達のアベレージスピードはさほど高くならなかった模様だ。

Team Japan の 西村裕典選手が快走!

そんな中、MOTO部門のトップタイムを叩き出したのは ハスクバーナTE250i を駆るTeam Japan の ♯3 西村裕典(NISHIMURA Hironori)選手。前日のスーパーSSで最速タイムを叩き出し、誰よりも先にスタートを切って行ったが、そのままトップを譲ることなくゴールまで駆け抜けて来た。

続く2位は スズキRMX 450Z を駆る Team Cambodia の ♯24 Daravuth Chan 選手。3番手にも Team Cambodia の ♯20 Koun Phandara 選手が付けていた。マシンは KTM の 450 EXC-F だ。

日本のメーカーが三つ巴の戦いを繰り広げる

4輪のトップは ♯105 の 三菱トライトン。Chayapon Yotha / Peerapong SOMBUTWONG 組 が2位に4分近い差をつけ、MITSUBISHI RALLIART チームの勢いを見せつけた。

続く2位は ♯117 の いすゞ D-Max。3台体制で出場している Isuzu Suphan Explorer Rally Team の Ditsapong MANEEIN / Prakai NAMJAITHAHAN 組 が王者いすゞの健在ぶりを見せつけてくれた。

なお、前日のスーパーSSで圧倒的な速さを見せた ♯101 Isuzu Suphan Explorer Rally Team の Suwat LIMJIRAPINYA / Prakob CHAOTHALE 組 はマシントラブルで大きく後退している。

3番手は ♯112の トヨタ ハイラックス レボ。NEXZTER REST CLUB (NXRC) の Theerapong PIMPAWAT / Banpoth AMPORNMAHA 組が ハイラックス勢の意地を見せた。

4番手に付けたクルマ椅子ドライバー ♯108 青木拓磨 / AOKIItthipon SIMARAKS 組 の走りにも注目しておきたい。チームは Fortuner GEOLANDAR takuma-gp、マシンはトヨタ フォーチュナーだ。


ここで、3台体制で参戦していた MITSUBISHI RALLIART チームの トライトンのうち1台のドライバーが前夜体調が悪くなり、検査の結果コロナ陽性とのことで、途中棄権となってしまったことをご報告しておこう。

タイでは現在、感染中の出社も認められていると言われているが、総監督の増岡 浩氏は大事をとって「苦渋の決断」を行ったという。幸いにしてチームに広がってはいないものの、スタッフ全員に毎日の検査を義務づける処置を行ったという。

いずれにせよ、4輪の上位は三菱、いすゞ、トヨタという日本メーカーのピックアップトラックが僅差でにらみ合う三つ巴の戦いとなった。明日以降どのような展開になるか、目が離せなくなってきた。


なお、今大会はスーパーSSを含む6つのSS全てにアワードが設定されており、昨日の WURTH に続き、ディナーパーティで表彰が行われ、アジアンラリー親善協会からMOTOの上位五名、AUTOの上位3台に賞金が贈られた。

(写真/高橋 学・文/河村 大)

moto

先行と後続の差が大きく開いた、MOTO部門の1日目

前日のスーパーSS1の順位結果により、LEG1のSS2スタート上位に立ったライダーたちと、それ以降との差が大きく開いていた。今年のコース設定は、「とにかくマップを難しく」というのが主催者側の意図だったようで、まさに狙い通りの結果となったようだ。

ルートブックに従い、慎重に進めば何事も無く済む、余計なことを考えるとミスコースする。簡単なように聞こえるが、なかなかそうはいかないもの。

用意されたSS区間は、だいたいが山を切り拓いて作られた広大な農地を利用したエリアが舞台となる。部分的に残るジャングルでは樹木の陰が太陽の強い陽射しとのコントラストで暗いトンネルとなり、背丈の高い茂みは小道を隠し、大量の降水は道の形をも曖昧にしてしまう。

つまり地元で生活する人たちにしか見分けがつかないような、おおよそ日本では考えられない環境で、バイクをコントロールしながらルートブックと目の前の状況を照合し、進むスキルが求められる。これはなかなかムズカシイ。

そんな中、ターゲットタイムよりも早くにゴールしていた数名に訊くと、確かにルート設定は細かいものの、難解というほどでもなかった、とのこと。

対して、先行グループから大きく遅れてパラパラとゴールした後続のライダーに訊くと、細かくミスコースを繰り返した、とのこと。その差は一体何なのか一概には言いかねるが、とにかく主催者側の意図通りになったわけだ。

そしてルートが細かい分、ハイスピードな展開とはならず、転倒による深刻なけがやトラブルは無かった。全員明るい時間に戻って来られたのも、ひさびさの開催で運営側も「勘」を取り戻すための準備運動とした結果だろう。

見た目のインパクトと日本国内では唯一無二の存在として注目を集める「サイドカークロス」だが、初日はデイリタイアとなった。原因は、その車体特性でもある激しい振動が電装系や燃料供給に影響したとのこと。スタート前にエンジンが始動しなくなったためデイリタイアとし、すでに修理は済んでいる。LEG2での激しい走りに期待したい。

同じチームのウラルサイドカーは途中棄権となった。これは故障ではなく、SS内で4輪に追いつかれてしまい、PC区間で給油等サービスの後、再度SSに並ぶと、安全性を考慮して4輪全車両の最後尾からでないと入れないと言われ、そうすると暗闇の中を走ることになるので自ら棄権したというもの。

そしてもう1台、元気にSSを走っていたものの、途中でエンジンが始動しなくなり、そのままスイーパーに拾われ棄権となっている。こちらも原因は解明され、すでに修理済み。LEG2に復帰する。

ちなみにこの参加者は、LEG0のスーパーSSで今大会最初の転倒を喫したライダーでもある。過去数回のアジアンラリー経験者ではあるが、ラリーストやオフロードライダー、冒険者というわけでもない。この大会の魅力に惹かれ、いつしか当たり前のように参加するようになった。それは良いことかもしれないが、ラリーに対する「姿勢」は、まだまだこれからのように感じた。

ともあれ、MOTO参加者は全員元気である。初参加のコンペティターも、「これは楽しいですね」「もうすでにお腹いっぱいです」と、全身に赤土のファンデーションを浴びながら、笑顔で話してくれた。

(写真・文/田中善介)
Provisional Result SS2
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AUTO
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MOTO, SIDECAR
Provisional Result Overall
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Start List Leg2
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