8月10日、LEG1。昨日は出走順を決めるスーパーSSが開催されたが、いよいよ今日からFEDERAL-FLEXアジアクロスカントリーラリー2014のSS(競技区間)が始まる。

今日はパタヤからサケオまでの403.1kmのうち、193.50kmがSS1として競技区間になっている。
193.50kmと長距離の設定だが、途中99km地点にはPCがあり、ここではサポート隊を編成しているチームであれば、サポートを受けることができる。
今日のSS1だが、まずコマ図を見る限りでは、プランテーションの中を走ることが多く、全体を通して道幅が狭いのが分かる。コマ図にも「NARROW」の文字を多く見かける。そして穴があったりジャンプに注意など、起伏にとんでいるのが特長である。コマ図にはコーションと呼ばれる注意ポイントが書かれている。「!」や「!!」と数でどれだけ注意するのかを表し、「!!!」なら最注意ポイントとなる。そして、このSS1最大のポイントになった18.33地点にも、「!!」が2つ書かれている。
その18.33地点だが、「ROUGH TURN RIGHT」と書かれ、合わせて「MIND TO STUCK」と手書きで追記されている。
追記で書かれていることは、直前で追加された情報のことが多く、かなりスタックする危険性が高いということだ。そして実際、ここでドラマが起こったのだった。

実は我々レポート班は、その後の地点である18.50ポイントで撮影を行なっていた。ここは「!」コーションで、「MUDDY」と手書きで書かれている。ここ最近、天候自体は晴れの日が続き、スコールのような雨も降らない。路面は全体的に乾いている状況である。しかし、ここのは表記はマッディ。実際、木に覆われてできた影によって路面は乾いておらず、かなりのマッド状態であったからだ。

SSは二輪、四輪の順で出走。二輪はマッディな路面に車体を揺らしながら走り抜けていく。しかしここで、#115 Freddy KARLSON選手がマッディな路面につかまってしまった。マシントラブルを引き起こし、そこから動かすことができなくなってしまったのだ。その横を四輪が走り抜けていく。重量のある四輪によって、マッディな路面がさらに悪化。そして、そこで敢えなくスタックするラリーカーが続出した。牽引やウインチでレスキューが始まったのだ。
我々レポート班は、撮影場所からスタックしているのは見えないが、どこかしら聞こえるその牽引の声を聞いたのだった。急いで向かうと、そこには3台のラリーカーがスタックしていた。ウインチを駆使し、また各車助け合いながら脱出を図る。とはいっても、簡単に抜け出せるほど甘くはなかった。刻一刻と時間は過ぎていく状況だが、なんとかスタック状態からラリーカーを引き上げることに成功。PCポイントに向かうのだった。



プランテーションの中を走ると、方向を見失うことが多い。前後左右、どこを見ても木や畑ということがある。
ここで多いのがミスコース。SS1も二輪を中心にミスコースが続出。二輪は四輪とは違い、コドライバー(ナビ)がいない。走りながらコース確認も、1人ですべてのことをこなす必要がある。そのため、こまかな表記まで見ることができず、このようなプランテーションの場合、ミスコースを起こしやすいのだ。






それでも二輪を先頭に、SS1ゴール地点にエントラントが駆け込んできた。そして、その中に混じって四輪のトップもゴールを迎える。しかし、前半でスタックした影響で、日が暮れてもゴールを迎えることができない四輪もいるほどで、今年のFEDERAL-FLEX アジアクロスカントリーラリー2014は、LEG1から波乱の幕開けとなったのだ。
そのような中、二輪のトップは#110 前田啓介選手で、タイムは3時間58分48秒と4時間を切るタイムでゴール。2位には#107 池町佳生選手で、前田選手から遅れること2分12秒の4時間1分でゴールした。3位には#102 江連忠男選手で、トップから6分15秒差となっている。前田選手、池町選手、江連選手ともにFB JAPANとしてチームで参戦している。
#110

#103

#112

#117

四輪のトップは、#11 Nuttapon ANGRITTHANON / Peerapong SOMBUTPONG組で、3時間19分14秒でゴール。2位には#1 Paltoon THAMMASIRIKUL / Thanyaphat MEENILL組で、タイムは22秒遅れの3時間19分36秒でゴールに。3位は#8 Wichawat CHOTIRAVEE / Athikij SRIMONGKOL組が、3時間40分43秒でゴールした。
日本人のトップは、#4 伊藤芳朗 / 平賀 健組で、トップとの差は25分43秒の3時間44分57秒の4位につけている。
#11 Nuttapon ANGRITTHANON / Peerapong SOMBUTPONG



明日のLEG2は、1日目の宿泊地であるアランヤプラセートを起点とするループコース。総走行距離は385.95kmで、SSは239,84kmと、LEG1よりさらに距離は増えている。しかも、コマ図には「!!!!」もあるほど。ホテルを朝7時にファーストカーが出発。明日の戦いに期待したい。


下記アドレスにアクセスして、ユーザーIDとパスワードを入力すれば、確認可能だ。
WEB site: http://www2.navtech.in.th/tracking2/Account/Logon
User: jp
Password: 1234
【エントラントの声:LEG1終了後ホテルでインタビュー】AUTO部門
#5 竹野悟史選手/柳川直之選手
新しいサスペンションの設定にも慣れ、順調に走ることができました。とはいっても、途中で石に乗り上げ衝撃が…。ホイールを割ったかと思ったほどです。細かくミスコースしやすいコマ図でしたが、問題なく走り切ることができました。
#7 伊藤芳朗選手/平賀健選手
T2からT1になり、改造範囲が広がったので、よりよくマシンを作ることができました。特に装着しているエアバンプで、凸凹な路面でも快適に乗ることができます。まるでクラウンのようですよ(笑)。「!!」の2コーションまでアクセルを踏むことができますね。前半でオルタネーターが壊れ、またエアコンのファンが壊れたりしましたが、今回初めてサービス隊を用意し、PCで修理することができました。装着のフェデラルタイヤはブロックにハイトがあって泥はけも良いので、マッディな路面に強いですね。
#12 青木拓磨選手
高速コースで、面白く走ることができました。2〜3回、ミスコースをしましたが、すぐにリカバリーできる範疇でした。新しいマシンになり、以前乗っていたマシンよりホイールベースが短く、クイックな動きをみせるので、それに合わせてドライビングスタイルを変えていく必要がありますね。
#16 森川金也選手
PC前の前半は問題なく走れていたのですが、後半の20kmぐらいで、いきなりエンジンが止まってしまいました。
そこで3時間ほど足止め。クルマを直して、走り出すことができたのですが、またエンジンが止まってしまう状態に。今、修理しているところです。
【エントラントの声:LEG1終了後ホテルでインタビュー】MOTO部門

#106 福村久澄選手
なかなかコマ図が合わずに苦労しました。同じミスコースしているエントラントと、途中意見交換をしたりしました。その時、オレンジ色のラリーカーを見かけ(#5)、彼らについていくことにしました。コースは途中、大きくえぐられているようなところがあり、かなり起伏がありましたね。
#109 松本典久選手
アジアクロスカントリーは3回目の出場です。ミスコースなく、また路面もフラットなところが多くて全開で走ることができるところもあり、気持ちよく走ることができました。
#111 高橋主剛選手
最初はペースをつかむことができず、転んだりミスコースしたり…。でも、後半になると自分のペースが分かってきました。しかし最後の最後で、またミスコースしたりと、大変な一日でした。
#114 宮崎大吾選手
コースは面白かったですが、難しいですね。一筋縄ではいかない感じがしました。実はガス欠になったのですが、ちょうど村の近くで、バイクを押すのを手伝ってもらったり、ガソリンまで買ってきてくれたりしました。

