フェデラル - ベッセル アジアクロスカントリーラリー 開幕!

今年、21回目を迎えた国際ラリーレイド「アジアクロスカントリーラリー」がタイ中部の高級リゾート パタヤにて開幕した。今年の競技は8月14日から6日間の日程で行われ、ゴールはなんと隣国カンボジアの世界遺産アンコールワット。前半戦はカンボジア国境をまたいでシアヌークビルまで南下する海沿いのルートが中心だが、後半はそこから一気に北上しつつ、カンボジアの首都プノンペンを経て観光都市シェムリアップに到る内陸のルート構成となっている。

そのうち、定められた時間内で公道を移動するロードセクション(リエゾン)は約1,167km。ダート路等でタイム計測を行い、速さを競うスペシャルステージは約805km。総延長2,000kmに及ぶ戦いが用意されている。

第21回フェデラル - ベッセル アジアクロスカントリーラリー2016の幕開けを宣言するイベントディレクター 笹 忠之(中央)。

その前哨戦として本日8月13日に、スタートの順番を決めるタイム計測(ショートSS)が行われる予定だったが、諸般の事情により中止。その後パタヤのビーチ脇を走るウォーキングストリート(繁華街)のネオンの下でセレモニアルスタートが華々しく行われる予定だったが、これも直前に発生した「連続爆破事件」の影響で急遽予定を変更。一時はセレモニーそのものの開催が危ぶまれたが、厳戒態勢の中、やや内陸のシティーホールに場所を移して行われた。何やら波乱含みの幕開けとなってしまったが、今のところ、選手や大会関係者、見物客などにケガ人は出ていないのでご安心いただきたい。

今年の参加台数は二輪が46台、四輪20台、総勢66台という陣容。昨年に引き続き二輪部門のエントリーが多く、タイやカンボジアはもちろん、日本、韓国、インドネシア、スウェーデンなど数多くの国からエントラントが集まっている。メーカーも日本のホンダ、ヤマハ、スズキはもちろん、スウェーデンのHUSQVARNAを使うユーザーも多く、同じくスウェーデンのHUSABERG、ドイツのBMWなど、多種多様なマシンが並んでいた。

四輪はタイ国内のレースで最も人気が高いイスズ・D-MAXの10台を筆頭に、トヨタ・ハイラックスが5台、スズキ・ジムニーが2台、トヨタ・タコマが1台といった具合。さらに、今年はインドメーカーから初の参戦があり、タタの Xeon というピックアップトラックが2台お目見えしていた。

♯1 Yoshio IKEMACHI

二輪勢の注目はやはり、昨年の戦いを制した ♯1池町佳生選手 や、2014年の勝者 ♯2前田啓介選手。同じくチームメイト(Team FB Japan)で安定した強さを魅せる ♯3江連 忠男選手など。この3人に強豪スウェーデンチームや、近ごろメキメキと実力を上げてきているタイ&カンボジアの選手達がどのような戦いを挑んでいくかが見所だ。

♯101 Nuttapon ANGRITTHANON / Peerapong SOMBUTWONG

四輪勢では、やはり今年も圧倒的な強さで勝ち続ける ♯101 Nuttapon ANGRITTHANON / Peerapong SOMBUTWONG 組(イスズ・D-MAX)の連覇を誰が止めるのか? という話題に尽きるだろう。また、昨年初出場ながら2位でフィニッシュした ダカールのレジェンド 篠塚建次郎 / 千葉栄二 組(スズキ・ジムニー)や、久し振りの参戦ながら過去に優勝経験のある 新堀忠光 / Chupong CHAIWAN 組 (トヨタ・ハイラックス レボ)の動向にも注目したいところだ。

♯102 Kenjiro SHINOZUKA / Eiji CHIBA

明日は競技1日目にして SS の距離が200kmオーバーという、今年のラリーで最も長く過酷なコースが控えている。ある意味「初日勝負!」ともいえる状況の中で、二輪、四輪のエントラント達がどんな戦いを見せてくれるのか、次のレポートを楽しみにお待ちいただきたい。(河村 大)

【MOTO】もはや2輪が主役と言っていいのでは!?

本大会に取材というカタチで2度目の参戦となった私(バイク雑誌の出版やウェブマガジン、通販サイトを運営する会社で編集部門の一員として働いている一介のサラリーマンです)。MOTOクラス専門のメディアスタッフとして、その日のトピックスや実際に出くわしたことをやや斜めからお伝えしていきます。

明日がレース初日となる本日は、選手にとってはブリーフィングと車検、セレモニアルスタートで1日が終わる調整日のようなもの。準備万端であれば空き時間にマッサージ(タイ古式マッサージ1時間コースで約600円!お店によって「サービス」の違いアリ)や買い出し(水、食料、日用品など)に行き、明日に備える。そうでない人はバタバタと終わらない作業に追われつつ、過ぎてゆく時間に焦りながらも「まあいいか」「仕方ない」と、いま出来ること、やるべきことを決め、折り合いをつける。傍から見ているとそんな感じだ。

さて、昨年に続いて他国の参加人数を大きく上回り、20名を超える日本人選手のなかでもっとも注目を集めているのが、史上初となる女性ライダーの参戦だ。AUTOクラスでは韓国の女性ドライバーが何年か連続で参戦しているが、MOTOクラスでは初。明日からの彼女の走りっぷりに注目していきたい。(田中善介)

ホテルの裏にある空地がピット。ここはほぼ2輪で占められている。
同じく車検場も設置され、選手たちは午前中に車検を済ませ、午後のブリーフィングまでの時間を有効に使う。
ビバーク(本大会では翌日の滞在先であるホテル)間を移動するトラックに大量の荷物が積み込まれる。
本大会史上初となる女性ライダー、#45前嶋選手。その素顔は後日。
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