8月10日(土)スラータニ
Before the Race
アセアン最大規模のクロスカントリーラリー
AXCR2024の準備が着々と進んでいる
タイ南部の平穏な街に色とりどりのマシンと大勢のラリースト達が続々と集まって来る。ここは州都スラータニ。バンコクから南へ650km離れたこの街が、今年のアジアクロスカントリーラリーの出発地となっている。
ラリーのヘッドクォーターが設置された「ダイヤモンドプラザホテル」のそこかしこで見られる笑顔と握手、そして抱擁。1年前、ラオスのゴールで再会を約した参加者達が互いの無事を祝している。
そんな中、明日の公式車検を控え、ホテル脇では朝早くから予備車検が行われていた。エンジンルームを開け、吸入エアを制限するリストラクターの口径を計り、1台1台綿密にチェックを行って行く検査官達。合格したものには封印がしっかり取り付けられていく。
一方、ホテルの駐車場では二輪と四輪の参戦マシンが最後の整備を受けていた。陽が高くなるにつれ焼けるように熱くなるコンクリート。今年は殺人的に暑い。メカニックの額には大粒の汗。クーラーボックス一杯に用意されたミネラルウォーターは飛ぶように消費されて行く。
でも不思議なものだ。到着したばかりの競技車両は何やら今ひとつ迫力がなかったが、大会スポンサーのステッカーやゼッケンを貼り終えるとひと際凛々しく見える。彼等の晴れ舞台はもうすぐ。明日夜20時のセレモニアルスタートで華々しくポディウムに立ち、17日カンチャナブリでのゴールを目指し、走り出してゆく。
日本語ブリーフィングとラリーストリーム
夕方16時には日本語によるブリーフィングが行われた。そこでマイクを持った主催者・笹忠之から選手達にひとつ、大切なことが告げられた。それはスペシャルステージ(SS)、つまり競技区間の走り方だ。
気になる内容は「点在する村々を通過する際、所々に速度規制を設けてあるが、そこで指示通り減速しない競技者には初回から10分のペナルティーを課します。そして更に繰り返すようであれば失格処分にします」というもの。
この裁定を担保しているのが、今年から導入された「ラリーストリーム」の技術だ。これはスマートフォンのアプリを使ってマシンの移動速度や現在位置、軌跡などのデータを主催者側がリアルタイムに把握できるようにしたもの。これにより簡単に、より公正な競技運営が可能になる、と大きな期待が寄せられている。
リバーサイドのウェルカムパーティー
そして夕涼みの風がターピー川の川面を渡り始めた頃、AXCR恒例の「ウェルカムパーティー」が始まった。会場は美しくライトアップされたシーターピー橋を望む川辺のレストラン「ザ・リバーサイド スラータニ」。
乾杯の挨拶はアジアンラリー親善協会の石田憲治会長だ。「皆さん、ラリーの準備はもう万端だと思いますが、今夜はそんなことは忘れ、思いっきり楽しんでいって下さい」との話と乾杯の合図が告げられると、会場から大きな拍手が起こっていた。
日本人MCは10年ぶりにAXCRに戻って来た間野目聖子さん。今大会はオフィシャルYoutubeサイト「AXCR TV」でも毎日のように映像をアップしているので、AXCRに興味がある方はぜひチェックして欲しい。
時間を忘れて、音楽と酒、そして地元の料理に舌鼓を打つ選手達。この時ばかりは二輪と四輪、オーガナイザーとコンペティター、そしてライバルの垣根をも越え、自由に、フランクに語り合う。今年もAXCRならではの、アットホームな魅力が詰まったウェルカムパーティーとなっていた。
さあ、明日は公式車検の後、日没後に「セレモニアルスタート」が執り行われる。次のレポートをお楽しみに!