Event Logo

Race Report

  • Before the Race
  • DAY 0
  • LEG1
  • LEG2
  • LEG3
  • LEG4
  • LEG5
  • LEG6
LEG4
LEG4
LEG4
LEG4
LEG4
8月15日(木)ラッチャブリ-カンチャナブリ

Team MITSUBISHI RALLIARTのトライトンを駆る
チャヤポン選手が総合トップに躍進!

4日目は海沿いの街、チャームを出発して一路カンチャナブリに北上するルートだ。トータル396kmの移動距離は今大会2番目に長く、そこに含まれる172kmのSSも2番目に長いため、意外にタフな1日となる予感だ。

こんな日は朝も早い。5時45分には二輪がホテルをスタートしており、そこから3時間15分のターゲットタイムを経てSSのスタートに到着。9時05分に1台目がスタートすると、そこから5時間半のMAXタイムが与えられる。

各車その時間内にSSを走り終えればノンペナルティで走行タイムだけが加算されていく仕組みだが、このSSの走破がひと筋縄では行かないことは、特に二輪の選手の脳裏によぎっていたはずだ。

というのも、昨夜のブリーフィングでコースディレクター ピタック氏 から語られた事実が、彼らの想像を超えていたからだ。いや、想像できなかったというほうが正確かも知れない。

それは「ロックの登りが続くポイントがあり、雨が降れば四輪はウインチなくして進めない」との説明だった。

ここをどう攻略すればいいのか? 果たして、運命のSSは始まった。

地獄絵図となった登りのガレ場ヒルクライム

二輪の選手にとって、この日は生涯忘れられないほど過酷な1日となった。

SSを40kmほど進んだところで現れた登りのガレ場。ここに1番で到着した選手を含む、後続全ての二輪がそこを登り切れずにスタック。

高い気温の中、熱中症に悩まされながら倒れたバイクを起こしては走り、走っては倒れ、よじ登ろうともがき続けたものの、体力の限界からその場で倒れ込む選手が続出。

二輪から1時遅れてスタートした四輪の選手が到着した頃には、1台分しかない道幅のガレ場のヒルクライムのそこかしこに、バイクと選手達の “屍” が累々と横たわっている状態だったという。

チームの期待を一心に背負う四輪のドライバーもクルマから降りてこの救出劇に参加、互いに腕がパンパンに張り、上がらなくなっても作業が続けられたという。

というわけで、この日スタートを切った19台の二輪のうち、15台がSS不通過及びリエゾンのタイムコントロール遅延等で10時間以上のペナルティーが加算され、総合タイムを大きくロスしてしまう状況になってしまった。

そんな中、この地獄絵図のようなガレ場を自力で脱出し、130km先のゴールまでマシンを運びきったツワモノもいた。

トップタイムでゴールしたのはKTM 350 EXCF を駆る♯11 Indonesia Cross Country Rally Team の Rudy POA 選手。これにより、Rudy選手は総合でも8位から4位にジャンプアップしている。

続く2番手と3番手のタイムを叩き出したのは Team OTOKONAKI から出場している ♯3 山田伸一 選手と ♯2 松本典久 選手。この活躍により、山田選手は総合でトップに、松本選手は総合2位に繰り上がった。

昨日まで首位だった ♯1 Team OTOKONAKI の 砂川保史 選手にも14時間を越えるペナルティが科され、総合6位には留まったものの、優勝争いからは大きく後退してしまった。

なお、総合3位は ♯5 PASAMAN SATU RALLY TEAM の Mufti Muis KARIM選手(インドネシア)。4位は先述の ♯11 Rudy POA 選手(インドネシア)、5位は ♯9 PASAMAN SATU RALLY TEAM の Habib FADHLURROHMAN選手(インドネシア)と、上位2人の日本人の後には3人のインドネシア選手が続いている。

驚くべきは日本から ホンダ スーパーカブ90 で出場している ♯17 後藤大輝選手の奮闘だ。なんとこの日もデイリー8位のタイムを叩き出し、総合では7位に食い込んできた。これはもしかしたら、バイクの性能というより、人間の性能が素晴らしく高かったからかも知れない

トヨタ ハイラックスと三菱トライトンが目の覚めるようなデッドヒートを展開

今日は地元タイ勢が大活躍した1日となった。デイリー1位から10位までのドライバーとナビゲーターを合わせた20名のうち19人がタイの選手となったのだ。

そして、今大会最長となった172kmのSSを走った後、1位と2位のタイム差は僅か5秒という信じられない結果となった。

この大激戦を演じたのは トヨタ ハイラックス を駆る ベテランの Mana 選手と 三菱 トライトン を操る若手のホープ Chayapon 選手だ。

この2台に、昨日から本格的にマシンが復活したNatthaphon 選手のハイラックスを加えた3台が序盤のロックセクションからゴールまでつかず離れず、丁々発止の戦いを続けた。

結果、プッシュし続ける後続に1度も道を譲ることなく、トップでゴールに辿り着いたのは ♯105 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND の Mana PORNSIRICHERD(タイ)/ Kittisak KLINCHAN(タイ)のハイラックスだった。

悲願の初優勝をかけ、TGR THAILAND のエースとして挑戦し続けているベテランの Mana 選手が、2022年に優勝した三菱のエース Chayapon 選手を僅かに5秒、抑えてゴールに飛び込んで来たのだ。

♯103 Team MITSUBISHI RALLIART の Chayapon YOTHA(タイ)/ Peerapong SOMBUTWONG(タイ)組は惜しくも2位となったが、総合優勝の奪還を狙う三菱勢にとって、これ以上ない上々の結果だったに違いない。

というのも、トヨタの Mana 選手は2日目のミスコースの影響が大きく、総合タイム(4日間の積算)では Chayapon 選手から約19分の遅れ。

そして昨日まで首位を走っていた ♯115 塙選手 のトヨタ フォーチューナーも序盤のロックセクションで手持ちのスペアタイヤ数(2本)を越える数のタイヤをバーストさせて万事休す。1時間23分遅れの21位に沈んでしまったため、Chayapon 選手が2位以下に大きなアドバンテージを持った状態で総合トップに立つことができた。

3位にはどんな時も安定した速さを見せる “AXCRの若きレジェンド” Natthaphon選手の駆る ♯114 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND の トヨタ ハイラックス。

4位は ♯108 ISUZU SUPHAN EXPLORER LIQUI MOLY RALLY TEAM の Ditsapong MANEEIN(タイ)/ Atikij SRIMONGKHOL(タイ)組、そして5位には昨年2位に輝いた 102 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA の Tubagus Adhi MOERINSYAHDI(インドネシア)/ Jatuporn BURAKITPACHAI(タイ)組がつけている。

Tubagus Adhi 選手は初日序盤に強打して破損したオイルクーラーの修理にやや時間がかかっていたが、4日目に本格復帰、いきなりの好タイムで存在感をアピールしていた。

なお、TOYOTA GAZOO RACING THAILANDは 6位にも ♯111 の Jaras JAENGKAMOLKULCHAI(タイ)/ Sinoppong TRAIRAT(タイ)組が入り、後半戦に入ってから調子がいい。選手層の厚さもこのチームの魅力だろう。

これにより、総合トップは Team MITSUBISHI RALLIART の Chayapon YOTHA 選手、2位に TOYOTA GAZOO RACING THAILAND の Mana PORNSIRICHERD 選手、3位は ISUZU SUPHAN EXPLORER LIQUI MOLY RALLY TEAM の Suwat LIMJIRAPINYA 選手となり、トライトンとハイラックスそしてD-MAXによる熾烈な三つ巴の戦いはさらに激しさを増すこととなった。

その他トップチームの順位で上げると、♯107 Team MITSUBISHI RALLIART の 田口勝彦 / 保井 隆宏 組が総合5位、♯115 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA の 塙 郁夫 / 染宮弘和 組が7位、昨年優勝し、今年は市販車無改造部門のT2Aで挑んでいる ♯101 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA の 青木拓磨 / Ittipon SIMARAKS(タイ)/ Songwut DANPHIPHATTRAKOON(タイ)組は10位につけている。

なお、序盤のロックセクションでは多くのマシンが坂を登れなかったり、タイヤをパンクさせたりクルマを壊したりしていたが、ここの下りで ♯136 Asian Rally team の Roslyn SHEN(台湾)/ Nada SIMARAKS(タイ)の スズキ ジムニー が表裏逆さまに転倒するアクシデントがあった。

幸い、女性コンビの Roslyn 選手と Nada 選手に大きな怪我はなく、大事に至ることはなかったが、ジムニーのルーフの前端が凹み、フロントガラスが大破してしまい、自走が難しいと判断されたため、その場から救出された後、デイリーリタイアとなってしまった。

この時、多くの選手達から救助の手を差し伸べていただいたということで、Roslyn 選手と Nada 選手 から感謝の言葉が寄せられていたので、ここでご紹介しておこう。

「私達の転倒に際し、とても多くの方に助けていただきました。ありがとうございました。特に ♯146 i TAIWAN Rally team の Yi Wen CHEN選手、♯116 Indonesia Cross Country Rally Team の Memen HARIANTO 選手には、感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございました。私達のジムニーは幸い自走できます。日本の中央自動車大学校の学生達が作ってくれた車ですが、今晩も彼等が必死に直してくれています。私達はラリーを諦めません。ジムニーを必ずゴールまで連れて行きますのでどうか、これからもご声援よろしくお願いします!」

ラリーはいよいよ後半戦に突入する。ドライバーやコドライバー、マシンに蓄積された疲労も相当なものだと思うが、デイリーの整備や度重なる修理で深夜まで働き続けているサービススタッフの疲労はもはや頂点に達している。

そんな中、明日のLEG5では今大会最長となる230kmのロングSSが予定されている。果たしてどのチームが完走し、どのチームが脱落するのか? そしてどのチームが先頭を切ってゴールしてくるのか? 2024年のアジアクロスカントリーラリーもいよいよ最大の山場を迎えようとしている。

(写真/高橋 学、文/河村 大)

Moto

登りガレ場で進めない、状況を知らせる術も無い、迫りくる4輪に逃げ場も無い!?

だいたいラリーイベントの朝は早い。この日は次の宿泊地までおおよそ400km移動する。その間に参加者たちは約170kmのSS区間をクリアしなければならない。

Motoクラス(二輪)のスタートは午前5時45分なので、撮影班は前日に定めた目的地(撮影ポイントの目安)までの移動時間を考慮しながら夜明け前のホテルを出発する。

現地ドライバーの運転で北へ走ること1時間ほどで、ようやく東の空が赤く明るくなってきた。タイ王国の南側は南北に細長い半島になっていて、西はミャンマー、南はマレーシアの国境に接する。

この日のヤマ場は、早々にやってきた。

SS区間のはじまりは、標高がそれほど高くはない山々の中を縫うように作られた細い道を登っては下る、まるで日本の林道(未舗装路)といったところ。九十九(つづら)折れの鋭いコーナーを走りながら標高を上げていくタイプで、山の斜面を削った道幅は狭い。

そして流れる雨水に削られたV字断面の縦クレバスが何本も走り、視界を遮る背の高い草が山側と谷側、ときには路面のど真ん中に生い茂っている。ちなみに、そんな道をカメラを持って歩きながら、ふと谷側の草の間を覗いてみると、ほぼ垂直の崖だった。なるべく山側を歩くようにしたことは言うまでもない。

スタートから約40km進んだ地点で、だいたい2kmくらい続く登りのガレ場があったらしい。ほとんどのバイクが前へ進むことができず、道幅はクルマ1台分。となると、Motoが全台スタートしてから数十分のインターバルを開けてAuto(四輪)が走り出すまでに抜け出さなければ、競技を妨害することになってしまう。そんな状況を誰かに伝えようにも、電波が届かず通信機器が使えない。

倒れては起こし、呼吸を整えてバイクに跨り、タイヤが一回転したところでまた転倒と、体力を削られながらも急がなけれればならないなか、追い打ちをかけるように高い気温と湿度が熱中症を引き起こしてしまう。

フラフラになりながら道の外へバイクを動かそうにも、左右は城塞の土塁のようになっていて一人の力では容易く動かすことができない……。

結果、大混乱。バイクの惨状を見たドライバーたちは一緒にバイクをどかし、前進するもスタック。ひっくり返る車両もあった。次々とやってくる後続車両が引き返すことのできない細道を埋め、車両もドライバーも実力があっても、追い越す幅のない道ではどうしようもない。

ラリーに参加するバイクは、もちろん「ラリー仕様」に仕上げてある。ハードエンデューロに挑む車両とは大きく異なるため、経験者であってもそんな状況は勘弁してほしいもの。

それでもクルマが掘った道筋に細いルートを見い出し、隙を突いて脱出する人もいたが、だいたいはクルマが行き過ぎるのを待って、安全にエスケープするケースが多かったらしい。

バイクをどかせずにクルマにホイールを踏まれて走行不能になったケースや、マシントラブルなどにより復帰を諦める人もいた。

そんな中、ホンダの「スーパーカブ90」で初参戦の日本人選手は、2kmものガレ場登りを押して抜け出したと言う。

数年間メディアの立場でアジアンラリーを見続けて、6日間を通してストーリーがあることに気付く。簡単に言うと、最初に油断させておいて、後半に手痛いしっぺ返しを喰らう、そんなシーンを何度も見てきた。

大会4日目を迎えて、「そろそろ来たか……」と、ピリリと気が引き締まる思いだった。残りはあと2日だ。

(写真・文/田中善介)

Provisional Result Leg4
PDF
AUTO
PDF
MOTO, SIDECAR
Provisional Result Leg1+2+3+4
PDF
AUTO
PDF
MOTO, SIDECAR
Start List Leg4
PDF
AUTO
PDF
MOTO, SIDECAR

Sponsors

Sponsors

PROPAK
WELPORT CORPORATION,LTD.
CHUOH TECHNICAL SCHOOL

Cooperation

Cooperation

BERIK
COMEUP_WINCH
E_CARGO
RAEMCO
RALLIART
TOP4x4
 
Tras
PERFORMANCE TRD
VVP4x4
 
YOKOHAMA
Web!ke
WÜRTH