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Race Report

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8月14日(水)プラチュアップ キーリカン

3日間の前半戦を終え、二輪は砂川選手
四輪は塙 選手が総合トップを堅持した

3日目はチャアムのリゾートホテルをスタートし、また同じホテルに戻ってくるループコースだ。

AXCRは基本的に、毎日のように移動を繰り返し、宿を変え、時には国境を跨ぎながら関係者全員がゴールまで共に走り続けるような競技だが、この日のように宿の変わらない日があると、サービス部隊にとって、少しだけペースを取り戻せる1日になる。

なぜなら荷物をパッキングし、ホテルをチェックアウトする必要がなく、重いスーツケースをクルマに積む必要もなく、そして何よりもサービスの拠点となるテントを撤収したり設営したりする手間も減るからだ。

これは、日中も競技車両顔負けの距離を走り、タイムコントロール後やゴール後に整備スペースを設けて作業を繰り返しているサービススタッフにとって、ささやかな「ボーナス」となり得るのだ。

さて、今日のSSは約170km。RSは約190km。昨日に比べ、移動区間はグッと短くなり、逆に競技区間は長めの設定だ。そして事前の情報ではコース状況も上々、3日目にしてようやくSSの全ルートを走れることとなった。

前半はパイナップルやマンゴーの農園、灌漑用水路などが続くオープンエリアが続き、後半から山岳路に入って行くこのルート。午後には土砂降りの雨となり、路面が滑りやすくなっていったが、4輪はほぼ全てのチームがマッドタイヤを履いていることもあり、遅延によるタイムペナルティも少なく、目立った混乱はなかった模様。ただし2輪勢はSSのMAXタイム、5時間に近い時間走り続けた者、5時間を越えてしまった者も多く、前半戦を終え、彼らの体力はかなり削り取られている模様だ。

Team OTOKONAKI の日本人3選手が上位を独占

二輪はこの日、大会スポンサーの「WELPORT」のアワードがあった。デイリー1位から5位の選手に賞金が用意され、ディナーパーティの壇上で WELPORT の 飯島祐一 さんから各選手に アワードのプレート が手渡された。

デイリー5番手は ♯5 PASAMAN SATU RALLY TEAM の Mufti Muis KARIM(選手)。Honda CRF250 RALLYを駆り、3時間40分46秒でゴール、総合では7位から5位に順位を上げている。

4位は ♯9 PASAMAN SATU RALLY TEAM の Habib FADHLURROHMAN 選手(インドネシア)。Honda CRF250 RALLY で5分のペナルティタイムを食らうも3時間40分28秒で走り終えている。これにより、総合順位は6位から4位に上がっている。

そしてこの日の3位から1位は Team OTOKONAKI の日本人勢が表彰台を独占した。しかも今大会出走ゼッケン順のオーダーだ。

3位は Husqvarna FE450を駆る♯3 Team OTOKONAKI の 山田伸一選手(JPN)。 総合順位は前日よりひとつ上がり、トップと約28分差の2位につけた。

2位は KTM 250EXC-TPI に乗る 松本典久選手(日本)。こちらも総合順位を上げ、3位まで浮上した。

そしてデイリートップは ♯1 Team OTOKONAKI の 砂川保史 選手(日本)。KTM EXC-Fを駆り、3時間17分16秒の好タイムで 総合トップを堅持。2位山田選手とのリードを広げ、後半戦に向け、大きなアドバンテージを得ている。

ただし、4日目、5日目とSSの距離はさらに長くなるので結果はまだまだわからない。

2台が参戦しているサイドカーのクラスでは ♯66 Rising Sun Racing の 渡辺正人(日本)/ 大関政広(日本)組が大きな怪我やマシントラブルがないまま前半戦を走り抜き、二輪のタイムと比べても9番手と、近年希に見るほど素晴らしい走りで健闘している。このままぜひ、全SS全RSの走破を達成して欲しい。

なお、WELPORTアワードで壇上に立った飯島祐一さんは近年継続的にAXCRに出場している四輪のベテラン選手で、今大会も鮮やかなイエローとグリーンに彩られたランドクルーザー300で参戦しているので、そちらもぜひ注目して欲しい。


往年のランドクルーザーがデイリー10位に!

4輪では幾つか面白いトピックがあった。

まずは、優勝経験の多い Natthaphon選手 の走りが復活したことだ。♯114 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND の Natthaphon ANGRITTHANON(タイ)/ Thanyaphat MEENIL(タイ)組のトヨタ ハイラックス は、昨夜の修理で1日目のダメージから回復し、3日目にしてようやく本気モードに入った。2時間28分44秒で4位のタイム。王者の走りが蘇ってきた。

そして同じチームながらこのタイムを上回ってきたのが ♯105 Mana PORNSIRICHERD(タイ)/ Kittisak KLINCHAN(タイ)組 のトヨタ ハイラックスだ。昨日ミスコースに悩まされ、総合でも中段に沈んでしまった鬱憤を晴らすかのように快調に飛ばし、2時間28分05秒でデイリー3位の成績。長年TGR THAILAND でトップを張ってきた “意地” の走りだ。

もうひとつのトピックは、ランドクルーザー80で挑戦している♯121 Kyushudanji Team Japan の 森川金也 / 内田雅彦 組がデイリー10位に食い込んできたこと。森川選手は2011年にはタイの英雄 ボラポット選手 と、2012年には新進気鋭の ナタポン選手 と最終日まで僅差でもつれる死闘を演じ、2年連続して総合2位を獲得した実力の持ち主だ。

その森川選手が10年越しの復帰にあたって相棒に選んだのが、その時AXCRで走らせていたランドクルーザー80だ。車齢は30年を越えているが、九州男児チームはエンジンからミッションまで全てをオーバーホール、昨年から3年計画でAXCRに復帰参戦している。その古き良きランドクルーザーが、11年振りにデイリー10位に入って来たのだ。

コース上でも遠くから響いてくる直6エンジンの音色はすぐに分かる。昨日もマニュアルミッションの3速、4速を失って四苦八苦していたが、森川選手はトラブルを抱えていてもクルマをなんとかゴールに運んでくる選手だ。このまま全行程を走り終え、ぜひとも上位に返り咲いて欲しい筆頭格のチームだ。

さてそんな中、3日目のトップタイムを叩き出したのは ♯115 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA の 塙 郁夫(日本)染宮弘和(日本)組の トヨタ フォーチュナーだ。タイムは2時間26分29秒。2日間連続のトップ賞で総合順位でも首位をキープした。還暦を越えたドライバーが若手に一歩も譲らぬ速さで前半戦をリードしている。

塙 選手とAXCRの関わりは10年前に遡る。現在の TOYOTA GAZOO RACING THAILAND が トヨタ ハイラックス で参戦する際、サスペンションのテクニカルアドバイザーとして関わったことがきっかけだ。この時、オフロードマシンコンストラクターとして知られる塙さんがAXCRに持ち込んだのが、アメリカン デザート レース 仕込みの長大なサスストロークを持つサスペンション メカニズムだ。

それまでのAXCRでは、脚まわりの改造と言えば、スプリングとダンパーの交換や強度アップ程度に留まっていたが、この時塙さんが関わったTRDのマシンの躍進により、その技術が東南アジアのクロスカントリーラリーに一気に広まっていったいきさつがある。

現在、ワークス勢では当たり前になったこの脚まわりをアジア世界に広めた張本人がAXCRの先頭を走る姿はなんとも感慨深い。そして、その走りを支える染宮選手のナビゲーションスキルが、世界トップレベルであることはもう疑う余地がないだろう。なぜならダカールのレジェンド 篠塚建次郎選手をして、「AXCRのナビゲーションは “世界一難しい”」と言わせたのだから。

続くデイリー2位は ♯103 Team MITSUBISHI RALLIART の Chayapon YOTHA(タイ)/ Peerapong SOMBUTWONG(タイ)組の 三菱 トライトン だ。2022年のチャンピオンが3日目にしてその本領を発揮、総合でも2位に浮上して前を行く塙選手の追撃態勢に入った。

そしてデイリー3位につけたのが 初日トップだった ♯105 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND の Mana PORNSIRICHERD(タイ)/ Kittisak KLINCHAN(タイ)組の トヨタ ハイラックス。総合でも17位から7位まで一気に躍進している。

5位は ♯112 ISUZU SUPHAN EXPLORER LIQUI MOLY RALLY TEAM の Suwat LIMJIRAPINYA(タイ)/ Prakob CHAOTHALE(タイ)組の いすゞ D-MAX。2022年にラリー前半を大幅リードする活躍を見せた Suwat選手も尻上がりに調子を上げてきた。

そして6位には♯142 Weedboom Rayong by Gazzy4x4 の Seri SROIPHLOI (タイ)/ Noppasit SOMMANA(タイ)のトヨタハイラックス。特にSS前半では前を行くワークス勢2台を抜き去る活躍ぶりを見せた。

これにより、前半3日間の総合順位は以下のようになった。セミワークスの トヨタ フォーチュナー を ワークスの 三菱トライトン がロックオン。そこにセミワークスのいすゞ D-MAX や トヨタ ハイラックスが割って入る形だ。

1位 ♯115 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA 塙 郁夫(日本)/ 染宮弘和(日本) トヨタ フォーチュナー
2位 ♯103 Team MITSUBISHI RALLIART Chayapon YOTHA(タイ)/ Peerapong SOMBUTWONG(タイ) 三菱 トライトン
3位 ♯106 ISUZU SUPHAN EXPLORER LIQUI MOLY RALLY TEAM Thongchai KLINKATE(タイ)/ Banpoth AMPORNMAHA(タイ)いすゞ D-MAX
4位 ♯112 ISUZU SUPHAN EXPLORER LIQUI MOLY RALLY TEAM Suwat LIMJIRAPINYA(タイ)/ Prakob CHAOTHALE(タイ)組 いすゞ D-MAX
5位 ♯107 Team MITSUBISHI RALLIART 田口勝彦(日本)/ 保井隆宏(日本)三菱 トライトン
6位 ♯140 FAST FORWARD SPORT Arunpong SRIRIT(タイ)/ Keerati NOIJARD(タイ)トヨタ ハイラックスレボ

ナビゲーションスキルが勝敗を大きく左右するAXCRでは、単にマシンの完成度が高いだけでは勝利をもぎ取ることはできない。でも、消耗戦となる後半戦では、選手層の厚さとサービスやパーツ供給などのバックアップ体制に勝るワークス勢が有利になる。

果たして4日目は誰が先頭でゴールに飛び込んで来るのか、目が離せない展開になってきた。

(写真/高橋 学、文/河村 大)

Moto

いかにもタイらしい光景と道を味わう、これぞ醍醐味

大会3日目の朝、ビーチリゾートエリアのホテルからは東の水平線に真っ赤な朝焼けを見ることができた。最初にスタートを切るMotoクラスの参加者は、体内時計を6時30分にセットし、5時30分から用意されたホテルの朝食をそそくさと済ませ、15分前くらいには走る準備を整えてホテル駐車場のスタート地点に並ぶ。

アジアンラリーが開催されるのは、日本で言うところの8月中旬のお盆期間で、タイでは雨期の終わりの時期となる。タイ米でお馴染みの稲作に関しては、日本のように川から用水路を経て田に水を張るのではなく、本格的な雨が続く6~7月に田植えを済ませ、あとは天気まかせらしい。重機で雑に掘った雨水を溜める池がそこら中に点在している。

大会初日からたびたびスコールを浴びる機会があったが、雨期の終わりが早まったのか、まとまった雨が長く降る様子はない。それでも撮影中に隣の山が白くぼやけ、涼しい風を肌に感じると撮影班は急いで雨をしのげる小屋や大木の下、移動車両の中へと避難し、ドサッと降る雨が通り過ぎるのを待つ。すると、さっきまでの高い気温と湿度から打って変わって、殺人的な太陽光で熱せられた大地には心地よい涼風が吹く。「そうそう、これがタイの空気だよなぁ……」と、あらためて自分が異国の地に立っていることを再認識する。

そう感じるようになったのは、小学生時代の夏休みのラジオ体操の時間、日が昇る前のひんやりとした空気や、夕立の後の扇風機の風が心地よいと感じることがなくなった、異常気象による日本の灼熱地獄が当たり前になっているからだろう。朝から外に出る気が萎えるのは、とくに都市部に生活拠点を置く日本人なら、みな同じ気持ちではないだろうか。

「タイはなんて過ごしやすいんだ……」

さておき、それは観光旅行でのハナシ。バイクで走るライダーにとっては激しい運動量と強い陽射しで、身体はもとよりヘルメットの中では滝のように汗が流れ、宙を舞う土埃のファンデーションで全身泥まみれになる。

そんないつもの状況にありながらも、スタートとゴールが同じホテルというLeg.3は、参加者にとっても彼らを追いかけるメディアにとっても、少し気が楽になる。

SS前後の移動区間は一般車両が走る公道を利用し、タイムアタックとなるSS区間は山中のジャングルを分け入る道や、プランテーションで働く農民の生活道路をつないだルートが設定されている。

路面状況としては、固く締まった赤土、水たまりが残るヌタヌタの泥、岩盤が削れたガレ場、背丈を覆うグラストラックなど。そしていたるところに先が見通せないアップダウンもある。

この日、前日まで参加者を苦しめた難解なコマ図ラビリンスは身を潜め、聞けば割とハイスピードなセクションで、走っていて気持ちよかったと言うライダーもあった。

ちなみに、2日目まで元気な走りで初参戦ながら上位に食い込んでいた「KOVE」の姿はなかった。無事であることを祈るばかりだが、アジアンラリーには様々な「洗礼」が潜んでいる。

常連ライダーは、これまで何度となく痛い目に遭ってきた経緯があり、分かってはいても気持ちが高揚して幾度も完走を逃していることも珍しくない。

今年初参加の数名のライダーも、アジアンラリーの雰囲気やタイを中心とした国境越えなど、何度もトライしてその魅力や醍醐味を感じ取ってもらいたいと願うばかりだ。

(写真・文/田中善介)

Provisional Result Leg3
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MOTO, SIDECAR
Provisional Result Leg1+2+3
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Start List Leg4
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