競技は中盤戦へと突入した。LEG3はカンチャナブリから北上し、ナコンサワンの町に向かうルート。総走行距離はこれまでで最も長い414.24km、SSも209.10kmと最長を記録した。
前半は直角コーナーの多いフラットダートの高速ステージ。88kmポイントには PC STOP があり、それ以降のステージはプランテーションの中を通る道がほとんど。途中には枯れた川や村が点在し、コーション3の大きな溝も数多く存在した。そして終盤にはアスファルト路の高速ワインディングや峠越えのエリアも出現した。
天気はやや曇りがちで気温は前半2日ほどは高くなく、終盤には局地的な降雨もあった。が、それによってコースが荒れるほどの影響はなかった。
二輪はこの日、♯2 の 池町佳生 選手(KTM 350 EXC-F)が前半戦に後続を引き離してトップタイムを記録。後半は ♯1 の Jakkrit CHAWTALE 選手(タイ・KTM 350 EXC-F)と互いにミスコースしながらバトルを繰り広げ、ほぼ同着でゴール。これにより、総合1位の Jakkrit 選手 と 池町選手のタイム差は前日の8分から4分に短縮されることとなった。
3位は池町選手から22分遅れで ♯19 の 杉山栄治 選手(HONDA CRF250 Rally)。続く4位以降の集団はトップから45分以上の差がついており、この日もミスコースによるタイムロスが明暗を大きく分ける結果となった。
これにより、二輪の総合リザルトはトップ2の Jakkrit CHAWTALE 選手 と 池町選手 に続く3位の ♯9 Chatthai PHRUETISAN 選手(タイ ・HONDA CRF250 Rally)が33分遅れ、4位の♯3 江連忠男 選手(YAMAHA YZ450FX)が45分遅れという展開。しかし、5位以降は1時間半以上の大差がつけられてしまう結果となり、優勝争いはほぼこの4人に絞られる形となった。
四輪は総合2位と3位につけていた Toyota Cross Country Team Thailand ♯102 の 新堀忠光 / Chupong CHAIWAN(タイ)組 及び ♯119 Jaras JEANGKAMOLKULCHAI(タイ)/ Kittisak KLINCHAN(タイ)組 が前半戦で共にミスコース。この間に トヨタ フォーチュナーを駆る ♯108 青木拓磨 選手 が順当に追い上げ、2位でPC STOP に到着した。
優勝候補の一角だった ハイラックス レボ 勢が順位を落とす中、トップスタートの ♯101 Nutthaphon ANGRITTHANON(タイ)/ Peerapong SOMBUTWONG(タイ)組 が前半戦をソツなく終え、今年も昨年のチャンピオンチームが盤石の体勢を築くかに見えた。
ところが、このチャンピオンマシンがSS後半の終盤で大きな轍に捕まってあわや横転かというアクシデント。フロントタイヤをバーストさせてタイムをロスさせててしまう。
さらに後半2番手スタートだった ♯108 青木拓磨 選手 もミスコースでタイムをロス。この機に乗じて ♯102 の 新堀忠光選手 がチャンピオンマシンにほぼ追いつくほどの快走を見せ、終わってみればSS1番時計のタイムを記録した。
これにより、四輪の総合成績は1位 ♯101 Nutthaphon 選手、2位 ♯102 新堀忠光選手 の順位は変わらぬものの、その差が8分から3分半に短縮される結果に。これはパンクやミスコースを1度しただけで順位が入れ替わってしまうほどの僅差。両者の勝負はいよいよ先が見えなくなって来た。
なおこの日、2番時計となったのは ♯115 の Paitoon THAMMASIRIKUL(タイ)/ Somkiat NOICHAD(タイ)組 の イスズ D-Max。続く3位はチャンピオンの ♯101 Nutthaphon 選手(イスズ D-Max)、4位も同チームの ♯103 Wongwirot PALAWAT 選手(イスズ D-Max) が続いている。
そして5位には ♯108 青木拓磨 選手(トヨタ フォーチュナー)が入り、6位には前日から調子を上げている ♯105 TEAM JAOS の 能戸知徳 / 田中一弘 組(トヨタ ハイラックス レボ)が入賞した。
トップ6のメーカーを順に並べると、トヨタ、イスズ、イスズ、イスズ、トヨタ、トヨタの順。両メーカーともに互いに一歩も譲らぬ構えを見せている。
総合順位は昨日から大きく変わらぬものの、6位だった ♯108 青木拓磨 選手(トヨタ フォーチュナー)が4位に躍進。4位だった ♯106 Wichawat 選手(タイ・イスズ Mu X)選手が6位に後退している。
なお、トヨタ・フォーチューナー と イスズ・Mu X は共に両社の世界戦略車である ハイラックス レボ 及び D-Max のプラットフォームから派生した4ドアのSUV車だ。ボディ重量が嵩むのでここ一番の加速ではピックアップ勢に及はばないが、両者ともによく健闘している。そしてここでもメーカー間の熾烈な戦いが行われている。
こうしてみると、今現在タイのピックアップマーケットで主導権争いを展開している2台メーカーの戦いが、モータースポーツであるクロスカントリーラリーの現場にまで及んでいることがよく分かる。アジアクロスカントリーラリーは基本は選手の戦い、そしてチーム間の戦いだが、こうやって少し視点を変えて眺めてみるのも面白いだろう。