自動車メーカーの代理戦争の裏で、熾烈なタイヤ戦争が勃発!

LEG5

8月17日(金)晴
コンポントム → コンポンチャム
SS 133.33km, リエゾン 64.01km, 総計 197.34km

ラリー5日目。2018年のサン・クロレラ アジアクロスカントリーラリーもいよいよ終盤戦に突入した。カンボジア国内2日目の戦いとなったこの日のSSは総延長133.3km。翌日のSSが23.2kmとかなり短いこともあって、実質的にこの日確定する総合順位がAXCRの成績となる可能性が高く、各選手、各チームとも入念な準備を行っていた。とはいえ中盤戦までの消耗戦でエンジンや駆動系、サスペンションなどに大小のトラブルを抱えてしまった競技車両も多く、SSは走らずに完走だけを目指すチーム、あるいはSSは走るものの無理せず淡々と走るチームなど、それぞれがそれぞれの事情の中でプノンペンでのゴールを目指しながら戦っていた。もちろん、中には走行不能になって既にリタイアしてしまったマシンも存在する。

MOTO

この日も波乱の幕開けとなった。スタート直後からミスコースするライダーが続出したのだ。それは総合トップの♯2 Yoshio Ikemachi 選手(日本・KTM EXC-R)や13分遅れで2位につけていた♯10 Koun Phandara 選手(カンボジア・KTM 450EXL)も同じだった。その結果、迷っているうちにまとまったトップグループの選手が団子状に連なって走る姿が見られるようになり、トップ6の選手はほぼ似たようなタイムでゴールしていった。この結果、総合の上位7台は一部順位の入れ替えがあったもののメンバーは変わらず、日本の ♯2 Yoshio Ikemachi 選手が 2位 Phandara 選手に10分以上のアドバンテージを維持したまま引き続き総合トップを守ることとなった。

なお、今年の2輪には日本からは Mami Masuda 選手(♯11・ホンダ CRF250)が、インドネシアからは Irma Ferdiana選手(♯25・KTM 250EXC)、Ayu Windari 選手(♯24・HUSABERG FE250)が参戦している。このうち Masuda選手は昨日のウォーターベッド走行中にクラッチを傷めてしまい、この日のSSはキャンセル。Windari 選手も同じく4日目に大きなペナルティーを加算されてしまったが、この日は元気に完走し、Windari 選手は総合24位、Ferdiana 選手は総合14位にで走り続けている。

♯30 So Khunvirak 選手(カンボジア・KTM)
2台一緒に走行する Cambodia Dara motorcycle top 1 の ♯10 Koun PHANDARA 選手(カンボジア ・KTM 450EXL)と ♯21 Daravuth CHAN 選手(カンボジア・スズキ RMX2 )
FB JAPAN の ♯6 Norihisa MATSUMOTO 選手(日本・ヤマハ WR450F)
Rising Sun Racing with URAL MOTORCYCLES の ♯66 Masahito WATANABE / Masahiro OZEKI 組(日本URAL Gear-Up) と ♯67 Tetsuo IWAMOTO / Kanan KOBAYASHI 組(日本URAL Gear-Up)

AUTO

四輪は4日目の戦いでチャンピオンチーム Isuzu The Land Transport Association of Thailand のイスズ D-MAXが上位4台中3台を占める独走状態となり、2位に♯112 Chamnan / Chonlanat 組(タイ・三菱トライトン)が、5位にTRDの ♯114 Mana / Kittisak 組(タイ・トヨタ HILUX REVO)というオーダーだったが、この日のSSはさほど難しいものではなく、また後半がキャンセルされたこともあって上位陣にさほどの順位変動はなかった。とはいえTRDの♯114 Mana / Kittisak 組が昨日の鬱憤をはらすかのような走りを見せ、デイリー2位の成績を残している。

というわけで、今年も大激戦となったイスズとトヨタの戦い、D-MAX と HILUX Revo の戦いは、最終日を前にしてイスズ側の勝利がほぼ確定しそうな状況だ。TRDのトヨタチームは多くのレグであと一歩のところまで肉薄していたのだが、チャンピオンの ♯101 Natthaphon / Peerapong 組(タイ・イスズ D-MAX)をどうしても抜き去ることはできなかった。チャンピオンマシンの走りがあまりにもステディで速く、付け入る隙を全く与えなかった、というのが正直なところだろう。このレベルになると、もはやハードウェアの性能よりドライビング能力、ナビゲーション能力といった人間力の熟成も大切になってくるのかも知れない。

盤石の走りで今日もトップタイムを叩き出した ♯101 Natthaphon / Peerapong 組(タイ・イスズ D-MAX)Isuzu The Land Transport Association of Thailand
デイリー2番手は総合5位の ♯114 Mana / Kittisak 組(タイ・トヨタ HILUX REVO)Toyota Cross Country Team Thailand
この日の3番手は ♯105 Wongwirot PALAWA / Thanyapat MEENIL(タイ・イスズ D-Max ) The Land Transport Association of Thailand-Singha-Isuzu

一方で、こうした自動車メーカーの戦いに隠れて、近年のAXCR ではタイヤ戦争も激化している。四輪の参戦車両が履くタイヤは、グッドイヤーのラングラー、マキシス、BFGoodRich、住友ゴムのファルケン、フェデラル、トーヨータイヤのオープンカントリー、横浜ゴムのジオランダー など、世界中で活躍している最新のマッドタイヤがここに集結してきているのだ。それもそのはず、わざわざ8月の雨期を選んで湿潤なジャングルやプランテーション、水田のあぜ道などで行われるこのラリーではタイヤの性能がとても大切になるからだ。

事実、東南アジアの国々ではこのラリー の注目度が高く、タイヤメーカーから各チームへ供給されるタイヤは質・量ともにひと昔前とは比較にならないほどになっている。総合順位を見ても上位5台のイスズ、三菱、トヨタ勢の足元はトーヨータイヤとヨコハマで占められており、これにファルケンが試作タイヤをTRDマシンに組み込み、BFGoodRichがTEAM JAOS とタッグを組んで発売されたばかりの新作タイヤを投入、Deliumタイヤはインドネシアチームのためにスペシャルタイヤを用意するなど、各社が激しいデッドヒートを繰り広げているのだ。

そしてこれらラリーで培われた技術がフィードバックされ、新しい製品となってみなさんの元へ届けられていくのだ。そういった意味で、各チームの足元に注目してラリーを観戦するのも面白い。

総合2位でチャンピオンを追いかける ♯112 Chamnan / Chonlanat 組(タイ・三菱トライトン)Sakaew King Off Road Isuzu Team はこの日6番手タイム。

FBアワード

なお、この日のSSはメジャーコ・スポンサーの古河電池(FURUKAWA BATTERY)より懸賞が与えられていた。「FBアワード」と名付けられ、二輪および四輪のトップ3台に賞金が用意されたのだ。受賞者は以下の通り。写真でご紹介しておこう。

MOTO

1位:♯5 Sumaetee TRAKULCHAIあ(タイ・HUSQVARNA FX350)
2位:♯1 JAKKRIT CHAWTALE 選手(タイ・KTM 500EXC-F)
3位:♯21 Daravuth CHAN(カンボジア・SUZUKI RMX2)

AUTO

1位:♯101 Natthaphon / Peerapong 組(タイ・イスズ D-MAX)Isuzu The Land Transport Association of Thailand
2位:♯114 Mana / Kittisak 組(タイ・トヨタ HILUX REVO)Toyota Cross Country Team Thailand
3位:♯105 Wongwirot PALAWA / Thanyapat MEENIL(タイ・イスズ D-Max) The Land Transport Association of Thailand-Singha-Isuzu

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株式会社サン・クロレラ 株式会社サン・クロレラ 株式会社サン・クロレラ FB 中央自動車大学校 VESSEL CO.,INC. tachigami FB 中央自動車大学校 VESSEL CO.,INC. tachigami