8月11日(日) 曇り時々晴れ、スコール数回 パタヤ → ナコンナヨク

LEG1

502.01km リエゾン:294.78km SS:207.23km

1st #21 David ROPER (SCT) SAVAGES Top 1 oil Race Team, Husqvarna FE

難易度Bの肩慣らしコース!?
でもスコールには気を付けろ!

今年はタイ・エリアとミャンマーエリアでそれぞれ3つのレグが予定されている。このうち前半3日間のタイ区間はSS(スペシャル・ステージ:タイム計測が行われる区間のこと)の距離が長めに設定されており、ここで充分なアドバンテージを稼ぐことのできたチームが後半戦を有利に進めることができる、と予想されている。

そんな中、競技初日に設定されたのは、SSが207.23km、リエゾンが294.78km、総走行距離が502kmという長距離戦だ。コースはその多くがプランテーションやミニジャングル、ビレッジセクションで成り立っており、ジャンクションも比較的多く、ドライのコンディションならそれなりにハイスピードな戦いになる、との事前情報。

路面はそこそこ硬くラフで、数回の河渡りがあるもののスタックは想定されない状況。途中、100kmのポイントで1度のPC(パッセンジャーコントロール)ストップがあり、計時区間が一旦終了。近くのサービスエリアで簡単な整備や給油を行って後半戦に臨み、130kmのSSを経てゴールを迎えるようになっている。

MOTO class

まずは出場選手の感想からご紹介しよう。「今日はアジアクロスカントリーラリーのコース難易度をABCでランク付けするなら B くらいの構成。ナビゲーション的にも迷い易いところは幾つかあったものの、えげつないトラップは皆無。路面はマッディなところも硬いところもあったものの想定の範囲内。ただし1日の中で5回近くスコールに打たれ、それが原因となってミスコースしたこともあった」という。「総じて "何事も起きない" 感じでおそらく "初日の肩慣らしコース” という感じだったのだろう。怖いのは明日からかな」というのが大方の意見だった。

そんな中、ひと際速い走りでトップに躍り出たのはハスクバーナを駆る ♯21 スコットランドの David ROPER 選手。2位には一昨年の覇者 ♯3 Jakkrit CHAWTALE 選手(タイ)が20秒差で続き、3位の Willem VERMEULEN 選手(オランダ)が26秒差でつけている。

2nd #3 Jakkrit CHAWTALE (THA), KTM 450 EXC-F
3rd #16 Willem VERMEULEN (NED) SAVAGES Top 1 oil Race Team, Husqvarna FE

そして4位は地元タイの ♯4 Sumaetee TRAKULCHAI 選手。これに ♯9 Kyle ROBERTSON 選手が続き、昨年覇者の ♯1 池町 佳生 選手が6位となっている。

なお1位、3位、5位の3人はいずれも「SAVAGES Top 1 oil Team」の所属。例年では日本人選手とタイ人選手の争いとなることが多かったが、今年はこの3人のヨーロッパ人勢が目立った走りを見せている。

4th #4 Sumaetee TRAKULCHAI (THA) FB International, Husqvarna FX350
5th #9 Kyle ROBERTSON (WLS) SAVAGES Top 1 oil Race Team, Husqvarna FE

SIDECAR class

このクラスには ♯66 渡辺 正人 / 大関 政広 組 と ♯67 岩本 徹男 / 冨本 至高 組の2台が日本サイドカー協会(Japan Racing Sidecar Association)から正式に参戦しており、その特異なマシン形状もっあって今年も大きな注目を集めている。

中でも ♯66 渡辺 正人 / 大関 政広 組 のサイドカーは昨年までのロシア製ウラルとは異なり、レース専用に造られたマシンとなっており、パッセンジャー(助手席側)には腰をかける場所すら用意されておらず、パッセンジャーの選手がバーに捕まりながら大きく体の位置を動かし、生身の体による積極的な荷重移動でコーナリングしていく姿には感動すら覚える面白さだ。サイドカーによる競技については、以下のサイトで詳しく記されているのでぜひご参考にしていただきたい。

日本レーシングサイドカー協会ホームページ
http://jrsa-sidecar.com

なお、♯66 渡辺 正人 / 大関 政広 組のマシンはモトクロス競技用のもので、長距離のラリーを戦うためのものではなく、「おそらく世界初!?」とも言われるこのラリー参戦で、なんと二輪や四輪と同じSS距離を完全に走破してしまった。とはいえドライバーとパッセンジャーが「全身に想像以上の疲れが溜まった」とのことで、今後の展開に期待しつつ、無理のない形で最終日を迎えていただけたら、と思う。

AUTO class

1st #101 Natthaphon ANGRITTHANON / Peerapong SOMBUTWONG (THA) The Land Transport Association of Thailand-Isuzu, Isuzu D-MAX

四輪はここ直近の6年間で ♯101 の Natthaphon ANGRITTHANON / Peerapong SOMBUTWONG 組(The Land Transport Association of Thailand-Isuzu)いすゞ・D-MAX が6連覇という偉業を達成しており、今年も優勝候補の筆頭に挙げられている。ドライバーのナタポン選手が得意としているのは先行逃げ切り型の展開だ。6連覇中も初日で前に出て、その後積算タイムトップの座を明け渡すことなく逃げ切る戦い方が定着しており、今年もレグ1の戦い方が注目されていた。

だが、蓋を開けてみればやはり彼らがダントツでトップ。2位の ♯120 Suwat LIMJIRAPINYA / Prakai NAMJAITHAHAN(Isuzu Suphan Sport)いすゞ・D-MAXに 7分差というアナザープラネットぶりを見せつけてラリー初日から定位置に降り立った。

2nd #120 Suwat LIMJIRAPINYA / Prakai NAMJAITHAHAN (THA) ISUZU SUPHAN SPORT, Isuzu D-MAX

3位は打倒いすゞ、打倒ナタポンを掲げるトヨタ勢の筆頭、 ♯111 の Jaras JAENKAMOLKULCHAI / Chupong CHAIWAN 組のトヨタ・ハイラックスだ。トップから10分の差をつけられてしまったが、タイヤ交換1回で追いつける距離だけに、まだまだ目が離せない展開だ。

4位は同じ TOYOTA CROSS COUNTRY TEAM THAILAND の ♯105 Mana PORNSIRICHERD / Kittisak KLINCHAN 組のトヨタ・ハイラックス。どちらも赤、黒、白のベースカラーに大きく「TRD」と目立つカラーリングが施されており、競技関係者からは「TRDのハイラックス」と呼ばれている存在だ。

このTRDのハイラックス勢が4年目の参戦となる今年も念願の初優勝を目標に掲げ、タイの国内クロスカントリー選手権シリーズなどにも積極的に参戦。実績を確実に残してきており、ディフェンディングチャンピオン率いる「いすゞ・D-MAX勢」と激しく火花を散らす構造は昨年と変わらない。

まさに、トヨタ、いすゞというアジア生産のピックアップメーカーを代表する両巨頭が全世界的に繰り広げているシェア争いの代理戦争ともいえる戦いがそのまま縮図となってこのアジアクロスカントリーラリー内でも繰り広げられているのだ。

3rd #111 Jaras JAENKAMOLKULCHAI / Chupong CHAIWAN (THA) TOYOTA CROSS COUNTRY TEAM THAILAND, Toyota HILUX
4th #105 Mana PORNSIRICHERD / Kitisak KLINCHAN (THA) TOYOTA CROSS COUNTRY TEAM THAILAND, Toyota HILUX

そして5位につけたのは ♯112の青木拓磨 / Itthiphon SIMARAKS / 椎根克彦 組(FORTUNER GEOLANDAR takuma-gp)だ。青木拓磨選手は下半身が不自由なためにペダル類の操作ができず、代わりに両手だけでクルマを操れるよう操作系を改造したトヨタ・フォーチュナーで参戦しており、ここアジア圏でも数多くのファンから支持されているドライバーだ。アジアクロスカントリーラリーは昨年一回休戦したものの、念願の初優勝をかけてカムバックしてきた。「初日は2年振りとなるラリー実戦走行のリハビリを兼ねて淡々と走った」とのことだが、今後の順位にも注目していきたいところだ。

5th #112 Takuma AOKI (JPN) / Itthiphon SIMARAKS (THA) / Katsuhiko SHIINE (JPN)
FORTUNER GEOLANDAR takuma-gp, Toyota FORTUNER
Provisional Result LEG1

Moto

Auto
株式会社サン・クロレラ 中央自動車大学校