みなさん、こんにちは!
ここはタイのビーチリゾート・パタヤです。シリキット王太后の誕生日(母の日)を迎え、華やぐ街の一角に、色とりどりのラリーマシンが1台、また1台と姿を見せ始めました。
新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年、2021年と中止されていたアジアクロスカントリーラリーは昨2022年の暮れにようやく再開することができましたが、通常通り8月の雨期に毎日のようにゴールを変え、ホテルを移動させながらフル日程・フルコースにて本格開催されるのは実に4年ぶりです。
さて、ラリーのヘッドクォーターが設置されたのはビーチからほど近い場所にある「グランドパラッツオ ホテル パタヤ」。そのエントランスエリアに、海外から船便で送られてきたラリーマシンがゆっくりと、でも着実に集まり始めました。
そして、大会の公式なスケジュール(車検)を明日に控え、多くのチームが競技車両やサポートカーにゼッケンナンバーやスポンサー・ステッカーを貼りながら、マシンの最終チェックを行っていました。
そんな中、非公式ながら日本人エントラントに向けた、日本語によるブリーフィングが主催の笹によって行われました。その席上で笹が最初に伝えたことは「タイとラオスの国境を形作るメコン川を越えると土の質が大きく変わり、雨が降ると極悪なマッドコンディションになる」ということ。そして「それをオーガナイザーがコントロールするにも自ずと限界があり、ひとりひとりが自分の判断で注意しながら走ってほしい」という依頼でした。
コースディレクターはこの半年の間に充分に調査を行いながらルートを設定してきましたが、それでも降雨の度合いによってコースコンディションが大きく変わることが予想されています。そのため「オーガナイザーとして可能な限り競技ルートの確保を行うものの、それでも一部、極悪な路面での勝負は避けられない可能性があり、増水した河川の渡河も含め、充分に気を付けながら走ってほしい」との注意喚起が行われたのです。
また、道幅の細いエリアではスタックした競技車両が後続のマシンの走行をブロックしてしまう可能性が多く、「そのような所ではライバル同士助け合いながら走ることで、自身のタイムの短縮、全体のタイムの短縮、そしてゴールへの完走そのものを目指してほしい」という依頼もありました。
競技中にライバル同士が互いに救出し合う、という光景はサーキットのレースやWRCなどの競技では見ることが難しいものだと思いますが、このような「助け合いの精神」は、雨期の東南アジアを舞台に長年開催されてきたアジアクロスカントリーの伝統ともいえるものです。
またそのような精神が脈々と受け継がれて来たからこそ、アジアクロスカントリーラリーは一体感の強い特別な競技として、これまでも数々の伝説やストーリーを生み出して参りました。
そしてこのような過酷な条件の中、時間を無駄にすることなく、ステディに速く走り、天運をも味方につけながら、周囲からリスペクトを受けられるような走りで1番にゴールできた者が「真のチャンピオン」と称えられるようになるのです。
また、競技区間はWRCのように完全にクローズドな空間で行われるわけではなく、時には連絡の行き届かない人、仕事中の村人などが操るクルマやバイクに遭遇する可能性もあり、「そのような場合には速度を落とし、地元の方にきちんとリスペクトを持ってパスして欲しい」という依頼もありました。
そして夕方には「ルエンタイ レストラン パタヤ」にて2019年以来となる「ウェルカムパーティー」が行われました。これは元々、エントラントの皆さまの交流を目的として始まったもので、多くの参加者やチーム関係者から「当たり前のように楽しめる場」として認知されてきたものです。
ところがコロナの影響で昨年末の大会でも実施することができず、今回、実に4年ぶりの開催ということで、今まで以上に多くの方にご参加いただくことができました。これも、アジアクロスカントリーラリーを変わらずご支援いただいてきた皆さまのご理解とご参加があったればこそです。この場をお借りして、深く、御礼申しあげます。ありがとうございました。
さて、明日は朝から車検が始まります。そして夕方にはパタヤ一番の繁華街「ウォーキングストリート」でセレモニアルスタートが行われます。公式レポートも明日より本格的に始まります。また、AXCR公式Facebookでも、沢山の写真とともに現地の状況をお伝えしていく予定です。
それではみなさん、また明日、この場でお会いしましょう。そしてどうか、8月19日のラオス(パクセ)でのゴールまで変わらぬご支援・ご声援を、よろしくお願い申しあげます。